動産とは「不動産以外の物」のことで、「土地及び定着物ではない物」ということができます。特に重要なのは、不動産に付属させられている動産、例えば家屋に取り付けられているエアコンなどがあります。
動産譲渡登記は、動産の譲渡の事実を公示するものであって、この登記により動産の存在やその所有権の帰属を証明するものではありませんが、最近の企業における金融実務においては、これまで十分に活用されていなかった動産を活用した資金調達の方法が注目を集めています。
動産を活用した資金調達の具体的な方法としては、企業が動産を譲渡担保に供して金融機関等から融資を受ける方法と、動産を流動化・証券化目的で譲渡し、譲渡代金として資金を取得する方法とがあります。
いずれの方法でも、動産自体は譲渡後も企業の直接占有下に置かれたままなのが通常で、外形的には判然とせず、企業が動産を資金調達に活用して行う障壁となっていました。
そこで、動産を活用した企業の資金調達の円滑化を図るため、法人が行う動産の譲渡について、公示性に優れた登記によって対抗要件を備えることを可能とする制度がつくられました。
債権譲渡登記制度は、法人がおこなう金銭債権の譲渡や金銭債権を目的とする質権の設定について、簡単に債務者以外の第三者に対する対抗要件を備えるための制度です。
金銭債権の譲渡または金銭債権を目的とする質権設定をしたことを第三者に対抗するためには、原則として確定日付ある証書によって債務者に対する通知を行うか、債務者の承諾を得なければなりませんが、法人が金銭債権を譲渡した場合または金銭債権を目的とする質権設定をした場合に限っては、債権譲渡登記所に登記をすることにより、第三者にその旨を対抗することができるとするものです。
債権譲渡登記制度は、債権流動化をはじめとする法人の資金調達手段の多様化の状況を考え、法人が金銭債権の譲渡などをする場合、簡単な対抗要件制度として平成10年10月1日から創設されたものです。